LGBTQ+の子ども・若者のための交流会「フレンズタイム」で、すこし年上の「LGBTの先輩」のお話を聞いたり質問したりするイベントをやりました!貴重なお話をたくさんいただきました。その模様
3回に分けてお届けしまーす!
第2回です(第1回はこちら)。
就職活動とセクシュアリティ
まさし 就職先を選ぶときに自分のセクシュアリティを気にしましたか?
杏理 けっこう気にしました。もともと体への違和感はほとんどないから、ホルモン注射とか手術とかもしていなくて。身体なにもしていない系トランス――いま命名しました。
会場 (笑)
杏理 身体なにもしていない系トランスだから、大学卒業して「学校の先生になろうかな」ってときは、何も言わなかったら「女の先生」として働くことになるのかな、それはマジで無理だなって思って、でもカミングアウトしたらどうなるんだろうって思ってけっこう悩みました。
まさし 悩んだ結果、どう考えた?
杏理 カミングアウトして面接とか試験とか受けようって決めて、そうした。そしたら、意外とアリでした。よかった。現場の先生たちも戸惑っていたけど、3ヶ月くらいで慣れてきて。
会場 ふーん。
杏理 知っている人の排泄している姿をそれまで見たことがなかったんですよ。男性トイレユーザーは小さい頃からそういう体験があるのかもしれないけど、ぼくは途中から。友達とトイレに行くとかはそれまでなかったけど、職場のトイレに行ったら、先生たちが会話していて、「ふつうに喋るんだ!」って。「排泄しながら会話するって、なに?!」って。
会場 (笑)
ひろき たしかに…。気にしたことなかった。
杏理 そういうのがあってびっくりした。経験したことなかったから、最初引いた(笑)。
まさし 慣れていきました?
杏理 うん。そういうもんなんだなーって変な感じするけど…って。
職場と折り合いをつけたりつけられなかったり
ゆうな 私は、高校は高等専門学校っていうところで、20歳で卒業したんですよね。そこからふつうに就職しました。そのときはまだジェンダークリニックとか通っていなかったし。親にもまだ言っていなくて、卒業したてで、「自分がこれからどう生きていくか」って考えていなかったから、嫌だったけど、男性として就職して。
働き始めて半年経ったくらいからトランスし始めたんですね。病院通ったりするなかで、診断書をもらって、そのタイミングで職場でもカミングアウトしようと思って。上司に時間を取ってもらって、カミングアウトしました。10年前に働いていた職場だから、「え?」みたいな、「そんな人いるんだ」みたいな、未知の存在。会社としても対応マニュアルとかなかったから、「一応話は聞きます。病院に通うのも、事前に申し出てくれれば、有給使ってどうぞ」っていう感じだった。
で、移行を進めていくと、髪も伸びれば、ホルモン注射で顔も多少変わってくる。そういう中で、理解がなかったのかなあ? 「髪は伸ばすな、切れ」って言われていたし、服装も、「戸籍上の性別は男性として雇用しているんだから、戸籍上の性別が変わるまでは男性らしくしろ」と。それは、自分の気持ちをいくら伝えても変わらなかった。だから、私は「この会社は、将来自分がしたいことに向けてお金を貯める場所だ」と割り切って、3年くらい働いて、きっぱり辞めた。
そのあとに手術して、戸籍の性別も変更して、ふつうの女性としてバイトした。そこでは自分のセクシュアリティを意識する場面はなかった。なので、最初の会社で働いていた3年間は、会社との戦いっていうか、どう折り合いをつけていくかっていうことで悩んでいた時期がありました。
ごう 自分のセクシュアリティは、いまの仕事では気にしていないんですけど。前の仕事では、セクシュアリティとはあんまり関係ないんですけど、女性ばっかりのところがいいと思って、レディースの服屋さんに勤めていましたね。その時は、セクシュアリティじゃないけど、気にしてはいたのかな。
いまの職場は、セクシュアリティのことも含めて居心地がいい。去年1ヶ月間だけ、資格を取るための実習で別の事業所に行ったら、男尊女卑じゃないけど、そういう雰囲気がキツくて、そういうところ私はダメだなあって気づきました。選ぶときは分かんないよね、入ってみないと…。
社風がかたいところのほうが、意外と良い?!
ひろき ぼくも就活のときはセクシュアリティとかは考えたことなかったんですけど、同じ年代の人がいる会社のほうが、仲良くなりやすいしやりやすいかなあと思って。ベンチャー企業とかだと若い人が多いので、わいわいできるかなと思って、そういう会社を探したりはしました。若い人のほうが、セクシュアリティとか(LGBTとか)、小さい頃から聞いていると思うので、いざ目の前にそういう人が現れたときに、ふつうに「ふーん」って、話聞いてくれたりするので。逆に、年齢層が高い会社に行くと、なかなか受けいれられないんじゃないかなあと思って。
1個前の会社はお固めのところで、そこでは「プライベートのことを聞くとセクハラになる」っていうのがあったので、ある意味で過ごしやすかったです。飲み会のときも、流れで「彼女とかいるの?」って聞かれるけど、「いや、いないです」で終わり。それ以上聞くと、セクハラって。だからお固めの会社もアリかもしれないです。
まさし へえ~。普通に聞き入っちゃった(笑)。
ごう 固い会社のほうが居心地がいい場合もあるっていうのは、面白い発見でした。
ひろき 女性社員が強い職場だったので、「ひろきくんにそれ以上言っちゃダメですよ」みたいにして守ってくれたり。1人、ある女性社員にバレたんですよね。何も言っていないのに、「きみゲイだよね」って、飲み会のときにコソッと言われた。
ごう え。こわ。なにそれ。
ひろき 耐えきれずに、「はい、そうです」って言って、それからその人と仲良くなって。2人で倉庫の端のほうに行って、「最近どうなの?」って話したりしてました。
杏理 それ傍から見たら怪しい関係ですよね。「あの2人倉庫入っていったやん」みたいな。
会場 (笑)
ひろき 2人でちょっと恋バナでもしながら…みたいな。気軽に言ったから、向こうも気軽に捉えて、ふつうに話してました。
結局は、入社してみないと分からない部分も
ゆうな 新鮮だなって思いました。なかなか他のセクシュアリティの人と話す機会がないから、すごく新鮮。いろんな職場があるんだなあ。
ひろき 結局は、入って(入社して)みないと分からないっていうところありますよね。
杏理 同じ職種でも、同じ会社の中でも、同じ職場でも、周りのメンツによって変わりますね。
ゆうな 一緒に働く人次第ですよね。会社の風紀やルールとかもあるかもしれないけど。
ひろき ぼくは、1人でいいからとりあえず味方をつくりますね。
ゆうな あ、それ大事かも。
ひろき 気軽に飲みに行けるくらいの関係の人をまずつくる。社内でなにか言われてもネタになるんですよね、自分たちの中で。「さっきこんなこと言われよったやん。ウケる」みたいなLINEが来る。そういう関係の人を社内につくるっていうのは、けっこう頑張ったかな。
杏理 ホッとする相手が1人いるだけでもちがうよね。
※就活のことで心配なことがあったら、FRENSの電話相談にかけてみたり、「LGBT_就活」などで検索して情報収集してみたりするのもいいかも!
第3回へ続く(全3回)
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