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執筆者の写真FRENSスタッフ

身近にいるLGBTの子どもたちのために、先生や保護者にオススメしたい3つのこと『小野アンリインタビュー』③

更新日:2019年12月17日


前回前々回に続き、FRENSの代表・小野アンリへのインタビューです。


第3回では、身近にいるLGBTの子どもたちのために、まわりの大人が気をつけたほうがいいことはなにか?という点について、くわしくお聞きしました。


 

LGBTの子どものまわりの大人が気をつけること

――要注意ワード(第1回)、DSK(第2回)とお聞きしてきました。保護者や先生など立場によって異なると思うんですが、その他に何か気をつけたほうがいいことなどあれば教えてください。



小野 「もしかしたらこの子は…」と感じる園児/児童/生徒がいる場合に、先生にオススメしたい3つのことがあります。


まず1つ目は、性の多様性について知ることのできる機会をつくる・環境を整えること。知る機会がない状態というのは、ネガティブな情報ばかりにさらされながら、「自分の性のあり方って何なんだろう、おかしいのかな」と、うまく整理して考えることができなかったり、じぶんを肯定的に感じるのが難しい状態です。


でも知る機会があれば、自分の性のあり方がどのようなものか整理したりわかったりもできるし、自分の性のあり方をポジティブに感じられるようになる可能性もあります。また、自分の性のあり方を表現する言葉などがわかることによって、誰かに話しをしたりすることも可能になるかもしれません。


本人から何か言われる前にできること

小野 2つ目です。身近に「もしかしたらこの子は…」と感じる子どもがいて、もしかして何か困ったりしてないかきになるんだけど、本人から言ってこない…。そういう場合には「何か言われるまでは待っておいたほうがいいのかな」と考えることもあるかもしれませんが、それはオススメできません。それよりは、本人がカミングアウトしなくてもそれなりに安心して過ごせるように環境を整えることがオススメです。


自分の性のあり方やそれに関して起こるいろんなことで苦しい・悩んでいる子どもがいるところで、「ホモ、レズ、オカマ」などの言葉を使ってバカにしたり、「男のくせになよなよすんなよ」など男らしさや女らしさを押し付けたりするようなやりとりが起きると、それが自分に言われていなかったとしても、ただそこにいるだけでしんどい思いをすることがあります。


このような状況は「バレたらやばい」と緊張感をより強め、相談のハードルを高めてしまうこともあります。なので、性の多様性に対するおおらかな価値観を育めるよう、環境を整えることが重要です。これは、学校でも家でも習い事でも地域の集まりでも共通して言えることだと思います。


人によっては、「もしかしてあなたってLGBT?」と直接聞いてみるのはどうだろうかって思うかもしれません。でも、本人が何もほのめかしてもいない・何も言っていないときに聞くのはあんまりオススメできないかなと思います。


時々、「聞いてくれたら、『うん』って答えるだけですむから楽なのに…」っていう子もいるけれど、でも、目の前にいるその子がいま聞いて大丈夫かどうかは誰にも分からない。すごくびっくりさせてしまったり、「いまはまだ話せない」って思ってるのにどうしようと困惑させてしまったり、「もしかしてバレバレなのかな」「みんなも気づいているのかな」と思って緊張感を強めてしまったりするかもしれません。


本人が自分のタイミングで相談するかどうかを選べるようにすること。これが3つ目のオススメです。



「カミングアウトを待つより先に表明する」作戦

小野 例えば、「カミングアウトできたらいいなあ」って思っている子どもがいたとして、 「でも、相手はLGBTのことどう思ってるんだろう。嫌な風に思っていたりしたら言いづらいなあ。言ったらどうなるかなあ」って考えるのはよくあることです。


そんなときに、「LGBTのこと、嫌だと思っていないよ」って表明していれば、「もしかしたら話して大丈夫かも」と思えたりする。名付けて「カミングアウトを待つより先に表明する」作戦です。


例えば、ホームルームでLGBTに関する前向きなニュースを取り上げてみたり、LGBTについて研修を受けたらそのことを話してみたり、LGBTに関する読みやすそうな本を読んでみて感想を紹介したり。家庭では、テレビでLGBTに関することが取り上げられているときに、肯定的なコメントをしたり、日ごろから「女/男だから〇〇じゃなきゃ」というようなことを言わないようにしたり。


「話したらヤバいことが起きるかもしれない」「どうなるか分からない」と感じている状態は、本人が話すかどうかを選べない状態。そうではなくて、話したいと思ったら話しても大丈夫だと感じられていて、本人が自分のタイミングで話すかどうかを選べるというのが大事です。



まとめ:3つのオススメ

  1. 性の多様性について知ることのできる機会をつくる・環境を整えること

  2. カミングアウトしなくてもそれなりに安心して過ごせるように環境を整えること

  3. 自分のタイミングで相談するかどうかを選べるようにすること



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1 Comment


nanakaegawa51
Nov 08

高校二年生です。

現在すごく進路に迷っています。

ずっと福祉に興味があります。

私自身LGBT当事者として、LGBTや少数者の居場所作り、相談などの点においてすごく興味深いことが沢山書かれてありました。

私は日頃プライドハウス東京のユースイベントにお邪魔させていただいています。様々な人に出会えて、とても居心地良く感じます。私もそんな素敵な居場所作りをしたり、相談相手になったりできれば、それ以上幸せなことはないなと思っています。

代表者のアンリさんを尊敬しています。今まで計り知れないたくさんの経験、行動をしてこられたんだろうなと、経歴を読んで勝手ながらに感じました。

もっと色んな人と会話をして、意見を取り入れて、進路を広い視野で考えたいと思います!!

素敵な方々やサイト、文章に出会えて良かったです。これからもアンリさんをはじめとする、皆さんの活動を心から応援しています(^-^)

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